ライチョウとは ライチョウの一年 観察のコツとルール 白樺峠 鷹の渡り アクセス・持ち物 FAQ

乗鞍エリアには、性格の異なる2つの野鳥観察フィールドがあります。ひとつは、国の天然記念物・絶滅危惧種であるライチョウが生息する乗鞍岳。もうひとつは、秋の「鷹の渡り」で知られる白樺峠です。この記事では、乗鞍観光協会の公式情報をもとに、それぞれの見どころと、観察の際に大切にしたい自然保護のルールをまとめました。

PTARMIGAN

乗鞍岳のライチョウ|地域のシンボル

乗鞍岳に生息するライチョウは、絶滅危惧種であり国の特別天然記念物に指定される、地域のシンボルです。乗鞍岳への誇りと未来への想いをライチョウに込め、長野県・岐阜県の双方から一気通貫できる観光ルート「乗鞍ライチョウルート」が生まれたと、乗鞍観光協会は紹介しています。

乗鞍岳の高山帯に暮らすライチョウのイメージ

畳平から剣ヶ峰へ向かう人気ルートのほか、富士見岳・魔王岳・大黒岳など、より気軽に登山を楽しめるルートの道中でも、雷鳥やコマクサの群落に出会えるチャンスがあるとされています。ただし、ライチョウは野生の高山鳥であり、観察を保証するものではありません。

ライチョウってどんな鳥?

ライチョウは氷河期に大陸から渡ってきたと考えられている鳥です。当時、北アルプスは氷河に覆われていましたが、氷河が溶け始めた際に大陸へ戻れず取り残され、そのまま高山帯に適応して進化したとされています。日本のライチョウは世界に生息するライチョウの中で最も南に分布する個体群で、現在は北アルプス・南アルプスとその周辺の高山、乗鞍岳、御嶽山にのみ生息が限られています。環境省のレッドリストでは、絶滅の危険性が極めて高い「絶滅危惧IB類」に指定されており、乗鞍岳周辺には推定100羽ほどが生息するとされる、保護が求められる貴重な存在です。

ライチョウは古くから、神が宿るとされる奥山に棲む「神の鳥」として崇められてきました。人を恐れない性格をもつのは、こうした日本固有の文化的背景も一因とされています。その愛らしい姿は、一度出会うと誰もがファンになってしまうといわれます。

1年に3回、羽の色が生え変わる

ライチョウの大きな特徴のひとつが、季節ごとに羽の色を変える換羽です。冬はオス・メスともに純白、春はオスが黒色・メスは茶色のまだら模様、秋になるとオス・メスともに灰色へと変化します(お腹や翼の色は一年を通じて白いまま)。これは、天敵(猛禽類・キツネ・テン・オコジョ・カラスなど)に見つかりにくくするための保護色とされています。ライチョウには目立った防御手段がないため、周囲の景色に溶け込む姿で身を守っているのです。

FOUR SEASONS

ライチョウの一年

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春

冬の間、標高の低い場所で過ごしたライチョウが高山帯に戻ってきます。雪解けとともにオスがなわばり争いを始め、4月中旬頃に交尾。5月末〜6月初旬にメスが産卵し、その間オスはなわばりを守ります。

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夏

夏前に換羽し、オス・メスの見分けがつきやすくなります。ヒナが孵るとオスはなわばりを離れ単独行動に。メスは子育てに専念しますが、生まれてから約1か月は自分で体温調整ができず母鳥の下で温められ、天敵に狙われやすい時期でもあります。生き残れるのは10羽に1羽ともいわれます。

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秋

ヒナが親とほぼ同じ姿の若鳥に育つと親離れし、群れを作るように。オス・メスともに地味な秋色の羽へと変わります。

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冬

羽は純白に。高山帯でエサが少なくなるため、ダケカンバなどが生える樹林帯へ下りて暮らします。冬芽を食べたり、雪に潜ったりしながら群れで春を待ちます。

SPOTTING TIPS

ライチョウ観察のコツとルール

見つけるためのヒント

  • 鳴き声を聞く:オスはなわばりを主張する際に「ガアガア」というような声で鳴きます。ヒナのいるメスも、コミュニケーションのために鳴くことがあります。登山中は耳を澄ませてみましょう。
  • 痕跡を探す:フンはウサギのフンを細長くしたような形が目印。茶色く乾いていれば古いもの、やや緑がかっていれば新しいものです。砂浴びの跡が見つかれば、近くにいる可能性があります。
  • 時間帯:ライチョウの活動が最も活発なのは早朝と夕方。日の出から2〜3時間後、日没の2〜3時間前が観察のベストタイミングとされています。

観察の3つのルール

  • そっと見守る:不用意に近づいたり追いかけたりすると、ライチョウに大きなストレスを与えます。子育て中は母鳥がヒナに声で合図を送っているため、大声を出すのは厳禁です。
  • 距離をとる:目安は5m以上。大勢で取り囲まず、ライチョウが行きたい方向へ進めるようにしましょう。
  • 様子を見て判断する:高山植物を夢中でついばんでいれば通常の状態。キョロキョロし始めたら軽いストレス、首をすくめて警戒音を出したり、メスが片翼を広げてケガをしたふりをして近づいてきたり(擬傷行動)する場合は、強いストレスのサインです。

登山者として心がけたいこと

  • 登山道以外には立ち入らない
  • ライチョウを見つけても追いかけない(巣に戻れず卵が冷えてしまうことがあります)
  • 高山植物を採らない
  • 決められたトイレを利用する
  • 入山前に登山靴の靴底をきれいにする(他の山域の種子や菌を持ち込まないため)

出典:のりくら観光協会公式サイト「乗鞍岳でも出会える『ライチョウ』について知っておきたいこと」

HAWK MIGRATION

白樺峠|秋の鷹の渡り

乗鞍高原と奈川の間に位置する白樺峠は「バードウォッチャーの聖地」とも呼ばれる場所です。繁殖を終えたタカ類が越冬のため東南アジアへ渡っていく「鷹の渡り」を観察できる日本有数のスポットとして知られ、多い日には1日で3,000羽ものタカが飛ぶこともあります。渡りは天候・風向き・気圧配置などの気象条件に大きく左右されるため、観察を保証するものではありません。

白樺峠のたか見の広場で双眼鏡や望遠鏡を構えて鷹の渡りを観察するバードウォッチャーたち

観察スポット「たか見の広場」

渡りの観察は、白樺峠の入口から徒歩約15〜20分の「たか見の広場」で行います。シーズン中は多くのバードウォッチャーが訪れ、「信州鷲鷹渡り研究会」が種類ごとの飛来数を数える調査を毎日続けています。広場までの道の途中には「乗鞍岳展望広場」もあり、晴れていれば乗鞍岳の美しい姿も楽しめます。

見られるタカの種類

渡りのシーズンが始まると、まず飛び始めるのがサシバやハチクマです。最盛期には1日1,000羽を超えることもあります。その後はノスリやツミなども見られるようになり、シーズンを通じてミサゴ・ハイタカ・ハヤブサの仲間なども含め、最大で15,000羽ものタカが観察されています。肉眼でも十分楽しめますが、双眼鏡があるとより細かい姿まで観察できます。望遠レンズを構えたバードウォッチャーたちが一斉にシャッターを切る光景も見応えがあります。

ピークの時間帯と「鷹柱」

観察の時間帯は、地面が太陽で温まり上昇気流が生まれる午前9時頃から正午にかけてがひとつの目安です。ただしタカは雨の日には飛ばず、「雨が数日続いた翌日の晴天」に一斉に飛び立つこともあるなど、自然が相手のため確実ではありません。

タカは上昇気流をとらえて輪を描くように上空へ昇っていきます。この時、多くのタカが同時に旋回する様子が柱のように見えることから「鷹柱」と呼ばれています。一定の高さまで上がると、そこから滑るように一定方向へ飛んでいく——その優雅な飛行は、何度でも見たくなる美しさです。タカが1羽、また1羽と現れ始めると、広場全体から歓声とシャッター音が沸き起こります。この一体感も、鷹の渡り観察の醍醐味のひとつです。

ACCESS & WHAT TO BRING

白樺峠へのアクセスと持ち物

白樺峠は、乗鞍高原から上高地乗鞍スーパー林道A線を経由して車で約15分。乗鞍岳を眺めながら走る気持ちの良いドライブコースです。反対側の奈川方面からも約15分でアクセスできます。シーズン中の週末は、早朝から場所取りをするバードウォッチャーで駐車場が満車になることもあります。

白樺峠の名の由来となった白樺林と、色づき始めた乗鞍高原の紅葉
アクセス乗鞍高原から上高地乗鞍スーパー林道A線経由で車で約15分
観察スポットまで駐車場から「たか見の広場」まで徒歩約15〜20分
観察時期9月中旬〜11月上旬(ピークは9月中旬〜10月中旬)
観察時間の目安午前9時頃〜正午頃
トイレ駐車場、たか見の広場周辺(有料、ボランティアによる維持管理)

持ち物・服装

  • 標高約1,600mの白樺峠は朝夕とても冷え込みます。防寒着は必須です。晴れた日中は気温が上がるため、脱ぎ着しやすい服装がおすすめです。
  • 近くにコンビニ等の店舗はないため、軽食・お弁当・飲み物は事前に用意しましょう。
  • 観察スポットのベンチには限りがあるため、簡易椅子やレジャーシートがあると快適です。
  • 双眼鏡があると、タカの種類や表情までより楽しめます。

観察時のマナー

  • 山菜・キノコなどの採取は禁止です
  • キャンプ・バーベキュー等、火気の使用は厳禁です
  • ゴミは必ず持ち帰りましょう
  • ペットの同伴はご遠慮ください(犬の鳴き声等でタカが警戒し、近くを飛ばなくなることがあります)
  • 多くの人が利用する場所です。お互いに配慮しながら静かに観察を楽しみましょう

出典:のりくら観光協会公式サイト「白樺峠へタカの渡りを見に行こう」/信州鷲鷹渡り研究会

TWO FIELDS AT A GLANCE

2つのフィールドをひと目で

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乗鞍岳|ライチョウ

国の天然記念物・絶滅危惧種。畳平から富士見岳・魔王岳・大黒岳への登山道沿いで出会うチャンスあり。乗鞍岳のシンボル的存在。

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白樺峠|鷹の渡り

9月中旬〜10月中旬がピーク。上昇気流を利用してタカ類が輪を描く「鷹柱」が見られることも。バードウォッチャーの聖地。

CONSERVATION

野鳥を守りながら観察するために

中部山岳国立公園に位置する乗鞍岳周辺には、貴重な高山植物や野生動物が生息する豊かな自然環境が残っています。乗鞍観光協会では、この環境を次の世代に引き継ぐため、次の5つを大切にするよう呼びかけています。

01
採らない公園内の植物、動物、昆虫などの生き物を採らないように。
02
捨てない食べ残しやごみは残さず持ち帰るように。
03
踏み込まない木道や歩道から外れたり、草花の上を歩いたりして、自然を傷つけないように。
04
与えない野生動物にむやみに近づかず、餌を与えたりしないように。
05
環境を乱さない自然の景観、空気、暗闇や静けさなどを乱さないように。

出典:のりくら観光協会公式サイト「乗鞍ライチョウルート」環境配慮についてのご案内

FOR BIRDING GROUPS

野鳥サークル・団体での観察もご相談ください

美鈴荘は標高約1,400mの乗鞍高原にあり、乗鞍岳・白樺峠いずれへの移動にも便利な立地です。大学の野鳥サークルや生物部、自然観察団体の合宿については、野鳥観察・バードウォッチング団体の合宿ページで詳しくご紹介しています。

FAQ

乗鞍の野鳥・雷鳥のよくある質問

乗鞍岳のライチョウはどこで見られますか?

乗鞍岳の登山道沿い、特に富士見岳・魔王岳・大黒岳周辺で出会うチャンスがあるとされています。ライチョウは国の特別天然記念物・絶滅危惧種であり、野生動物のため遭遇を保証するものではありません。

ライチョウを見つけやすい時間帯はいつですか?

ライチョウの活動が最も活発なのは早朝と夕方です。日の出から2〜3時間後、日没の2〜3時間前が観察のベストタイミングとされています。鳴き声やフン、砂浴びの跡なども見つけるヒントになります。

ライチョウはなぜ1年に3回も羽の色が変わるのですか?

冬は純白、春はオスが黒・メスが茶のまだら模様、秋は灰色へと変化します。天敵から見つかりにくくするための保護色で、防御手段を持たないライチョウが周囲の景色に溶け込んで身を守るためとされています。

ライチョウはなぜ乗鞍岳のシンボルなのですか?

乗鞍岳に生息するライチョウは地域のシンボルとされ、長野県・岐阜県を結ぶ観光ルート「乗鞍ライチョウルート」の名にも使われています。乗鞍岳への誇りと未来への想いが込められています。

白樺峠の鷹の渡りはいつが見頃ですか?

鷹が越冬のため東南アジアへ渡っていく「鷹の渡り」は、9月中旬から11月上旬にかけて観察され、ピークは9月中旬から10月中旬とされています。観察時間の目安は午前9時頃〜正午頃です。天候や風向きなど気象条件によって観察状況は変化します。

白樺峠へはどうやって行けばよいですか?

乗鞍高原から上高地乗鞍スーパー林道A線を経由して車で約15分です。駐車場から観察スポットの「たか見の広場」までは徒歩約15〜20分かかります。近くに商店がないため、軽食や飲み物は事前にご用意ください。

白樺峠ではどんな種類のタカが見られますか?

シーズン序盤はサシバやハチクマが中心で、最盛期には1日1,000羽を超えることもあります。その後はノスリやツミなども見られ、ミサゴ・ハイタカ・ハヤブサの仲間を含め、シーズン全体では最大で15,000羽ものタカが観察されています。

野鳥観察をする際に気をつけることはありますか?

採らない・捨てない・踏み込まない・与えない・環境を乱さないという、乗鞍観光協会が呼びかける自然保護の5つのルールを守った観察をお願いします。ライチョウへは5m以上の距離を保ち、白樺峠では火気厳禁・ペット同伴不可などのルールもあります。

野鳥観察の拠点になる宿はありますか?

美鈴荘は標高約1,400mの乗鞍高原にあり、乗鞍岳・白樺峠いずれへの移動にも便利な立地です。野鳥観察・バードウォッチング団体の宿泊については、group-birdwatching.htmlでも詳しくご紹介しています。

最終更新日:2026年9月25日 出典:のりくら観光協会公式サイト(https://norikura.gr.jp/)

野鳥観察の拠点に、標高約1,400mの温泉宿へ

個人利用・団体利用いずれも、宿泊のご相談を承っています。